成田発着のLCC早朝便は定着するのか

最近、仕事で様々な方達のLCC搭乗記を読んでいるが、搭乗率が思ったほど高くない。
実際の搭乗率がどの程度なのかは分からないけれど、多くの方が撮った写真や記事を拝見してみると、空席が目立つ。
ピーチが比較的高めな搭乗率を維持しているのに対し、成田ベースのLCC2社はちょっとマズイ気がする。

金土日祝日はかなりの搭乗率のようだけれど、平日、特に火曜~木曜あたりは搭乗率が50%前後だったりする便もある様子。

極めて空席が目立つのが、成田の早朝便。
11月現在、成田空港を朝6:00~6:35までに出発する、エアアジアとジェットスターの7便だ。

そもそも朝6時に成田空港に行くのが現実的に無理があると思う。

朝6時のフライトに間に合う唯一の公共交通機関は、東京駅1:30発の東京シャトルか、新宿駅1:30発のリムジンバス。
6時過ぎの便なら、東京駅4:30発の東京シャトルでも行けるかな。以上3つのバス。

仮に早朝7便中6便が満席だとすると、180×6で1080人。
それに対し、早朝成田に向かうバスは約50人乗りなので、3台で150人。
いくら車で空港に向かう人がいたとしても、相当な人数が公共交通機関で空港に向かうはずなので、どう考えてもバスが足りるわけが無い。
しかし、バスに乗れなかった人が大量にいたことは余り無いので、十分バス3台で足りているということになる。

案の定、成田早朝便は前日買っても最安値の4000円台で予約することができる。それだけ席が余っているということだ。


さて、海外の事例を見てみる。
例えばロンドン。
ロンドンには近郊に5つの空港があるが、その中でLCCがメインに使ってるスタンステッド空港を取り上げてみる。

スタンステッド空港はロンドン中心部から50km程離れており、バスで70分~90分と非常に成田と似ている。電車だと50分前後とこれまた成田と似ている。

スタンステッド空港は運用時間も似ており、深夜は離着陸が禁止されているので、基本的に朝6:00からの運用開始。

朝6:00から6:30までは、毎朝ライアンエアーが約15便が離陸する。
こちらの搭乗率、自分も何度か利用してことがあるか、50%を切ることはまず無い。相当な人数が毎朝スタンステッド空港からヨーロッパ各地へと飛んでいく。

さて、このスタンステッド空港へ早朝に行くことは非常に簡単だ。鉄道が早朝から運行していないので、バスでの移動になるが、ロンドン中心部からは数社がバスを運行しているが24時間運行。10分~20分起きに1本ある。深夜の時間帯でも20分~30分おきに運行しており、利便性が高い。

空港は成田とは違い24時間オープン、カフェや一部店舗はもちろん24時間営業。

自分が利用していた頃は、さっさと空港に向かい空港のソファーで出発まで仮眠するか、ロンドンでクラブに行ってから、3時頃のバスで空港に向かっていた。
いずれにせよどんな時間に行ってもバスはあるわけで、予約なんかせず、来たバスに乗れば問題なく着く。


成田早朝便は間違いなく安い。ロンドンが1000万人程度の都市なのに対し、東京圏は3000万人を超える世界一の都市だ。絶対に需要がある。
ただ、その早朝便を支える体制が今は不十分。航空会社以外が今以上の策を講じなければ、今後早朝便は毎日空気を運ぶ事になってしまう。
それが公共交通機関や空港側に求められる。

例えば、空港の24時間オープン。飲食店も24時間営業が求められる。
バスは東京駅・新宿駅以外にも渋谷や池袋といったターミナルから出発する必要がある。
そもそも急いでるわけではないのだから、0時~2時に各地を出発して東京駅にも停車し、空港に向かえば良い。
東京-成田間で途中停車してもいい。京葉道や東関道沿いだけでも200万人近くが住んでいる。
早朝便利用者は早さではなく、低価格と利便性だけを望んでいるのだから、柔軟に対応する必要がある。

早朝便は各社の機材数が増える限り、今後も便数が増えるだろう。もっと多くの人が利用できるよう、各社が協力しあって利便性を高めていって欲しい。