LCC利用者はお金を使わない?沖縄県の調査で | Help Point
沖縄県は今年5月、LCC利用者はFSC(フルサービスキャリア)利用者に比べ、旅行消費額が12.9%低かったと発表しました。
一方、北海道観光振興機構が先日発表した調査結果ではLCC・FSC利用者に旅行消費額に大きな差はなかったと発表しています。
平成26年7月 北海道旅行者に対するマーケティング調査(概要版)
というわけで、今回は北海道観光振興機が発表したマーケティング調査を簡単にまとめてみます。
*当ブログではLCC(格安航空会社)に対し、ANAやJALと言った航空会社をレガシーではなく、フルサービスキャリア(以下FSC)と明記しているので全てFSCで統一します。
LCCとFSC利用者の比較
LCCはやはり若年層が多く利用しています。
LCCでは20代と30代の割合が全体の44%に対し、FSCではたった24%。
50代以上の割合はLCC35%に対し、FSCが55%。
簡単にいえば、LCCでは利用者の半数が30代以下。
FSCでは半数が50代以上。
全てを比較するにおいてこの年齢が大きなポイントになってきます。
さらにLCCでは学生の割合が全体の15%とある程度を占めていますが、FSCではたった3%。
学生にはLCCが圧倒的な人気です。
LCC利用者の中には初めて北海道に訪問したという利用者も多く、LCCが北海道を訪問するきっかけになっているとも言えるでしょう。
個人的に気になったのは予約方法や旅行前の情報源。
LCCでは旅行会社経由で申し込んだ人がたったの7%ですが、FSCでは39%と圧倒的な差です。
LCC利用者は8割以上が自分で飛行機や宿を予約し、FSCでは半数以上が旅行会社経由あるいはパッケージを利用しています。
またLCC利用者はホームページやSNSで北海道の情報を入手している方が大半ですが、FSC利用者は旅行会社のパンフレットやスタッフから情報を得ている方が多いのが特徴。
そもそも利用者の年齢層がLCCでは30代以下、FSCでは50代以上が多いという事を考えると、当たり前の結果かもしれません。
航空機を選ぶ際の重視度(LCC・FSCを選んだ理由)
LCC利用者は料金の安さがとにかく重要。それ以外は特に・・・・・・。
FSC利用者は機内の過ごしやすさや機内サービス、客室乗務員の対応も重要。
お気に入りの航空会社で選んでる人もFSCでは多い。ANAが好きな人はANAしか乗らない・・・みたいな。
一方LCC利用者は安ければ会社には拘らない人が多い傾向。
安けりゃジェットスターでもピーチでもどっちでもいいか!
そんな人が多いということでしょう。
消費行動
沖縄県と異なり、北海道ではLCCとFSCに旅行消費額に大きな差は見られません。
あえて言うなら宿泊費がLCCでは1泊あたり平均6513円、FSCでは7372円となっている点でしょうか。まあホテルは旅行中寝るだけ・・・という方が多いですからビジネスホテルに泊まるかたも多いでしょう。特にLCCではその傾向が強いはず。
面白いのは北海道で何を食べたかの調査もしている点。
LCC利用者はラーメン・スープカレー・ジンギスカン・回転すしの割合が多く、FSC利用者は寿司や魚介類を食べた方が多め。
実はこれも年齢層の影響が大きい。
LCC利用者が多く食べたのは、どれも若い人が好みそうなものばかり。
さらに買い物や飲食をした店舗の調査でもその差が明確です。
若い人はコンビニ使いますから・・・・・・。
自分もホテル帰る前にコンビニ寄ってお酒買ったりしますし。
観光
LCC利用者は若い人が多いのでよく動きます。
観光名所巡りなんて得意。
あっちもこっちも巡って、スープカレーやラーメンを食べて、ジンギスカンも食べるぜ!
ド定番な北海道旅行ですが、それが楽しいですよね。
というわけで、どれを比較してもFSC利用者に比べLCC利用者の方がよく「観光」をしていると言えるでしょう。
唯一異なるのが、スキー・スノーボードの割合。
LCCでは25%に対し、FSCでは40%。
これはLCCは預け荷物が有料に対し、FSCでは無料の影響が大きいと言えます。
宿泊施設
LCC利用者はビジネスホテルに泊まる方が多いですね。
自分も札幌辺に行くときは大抵ビジネスホテル。
安く泊まれたらシティホテル。
でも旅行消費額ではLCCもFSCも大きく変わらないので宿泊費は抑えても、その分はきっちり使ってますよ!といった所でしょうか。
帰省目的でLCCを利用している方もFSCに比べれば多く、友人・知人に会いに行く方もFSCよりLCCの方が圧倒的に多い。
LCCで交通費が安くなった分、年1回だった帰省を2回にしたり、浮いた分で他の事にお金を使う学生も多いと聞きます。
離れ離れになった友人にLCCで会いに行ったりと、LCC万能です。
言い過ぎですか?w
道内交通手段
LCC利用者は若いですから。動きます。
車でも鉄道でもバスでも。目的地目指して動きます。
一方のFSC利用者。
観光バスを利用する方が多い。
ツアーで北海道に来ている方でしょうか。
空港で観察してると団体の方、多いですもんね。
お年寄りには失礼かもしれませんが、自分でどこかに行くより観光バスが楽ですよ。わかります。
海外行っても同じですからね。
まとめ
LCC利用者の2人に1人はLCC就航が北海道旅行のきっかけになった、ということで、これまで旅行に行かなかった層がLCCの就航によって旅行をするようになったと言えるでしょう。
そして圧倒的にLCC利用者は若い人が多い。
その影響をほぼ全てのアンケート結果に受けています。
自分で飛行機もホテルも予約して、自分で行きたい所を調べて、自らの足で行く。
これは北海道に限らず、現代の若い人たちの旅行のスタイルと同じでしょう。
国内・海外に限らずそういった旅の仕方をしている人が多い。
だからこんなブログでもそこそこのアクセス数があるわけでw
北海道観光振興機構のまとめでは
来道してからの二次交通の情報提供や宿泊の手配など、個人旅行者に対応できるツアーデスクの設置や、無料Wi-Fiの整備によるwebでの地元情報の提供を通じ、道内を周遊するための着地型旅行商品の造成・提供とともに、冬季には、雪道に慣れていない初心者にとって運転が難しくなるレンタカーに変わって、周遊を補完する二次交通の整備になどに取り組むことが必要である。また周辺地域と連携した旅行商品の造成を進めることによって、周遊の促進を図ることも重要である。
と書かれていますが、LCC利用者の多くは別に無料のWi-Fiなんて無くても、調べていことがあればささっと調べるような。
ここは日本。
そして旅行商品なんていくら出ても、LCC利用者は相当なメリットでも無い限り使わないでしょう。
自分の足で行くのが楽しいんですよ。
さて、沖縄県の調査ではLCC利用者の旅行消費額が12.9%低かったと発表しましたが、沖縄と北海道のそもそも観光地としての魅力の違いが鮮明にでた調査結果では無いでしょうか。
沖縄ではリゾート地でゆったり過ごす・・・という旅のスタイルが一定数ある一方、北海道では札幌から小樽へ旭川へ富良野へ・・・・・・と様々なエリアへに行かれる方が多いのが特徴。
結局LCCを利用している方達が旅先でケチっているという訳ではなく、必要な物に必要なだけ出費する方が多いというだけ。美味しいものがあれば食べるし、見たいものがあれば見ます。それは航空機の利用者に違いはありません。
LCCで旅は身近なものになりました。
LCC利用者の84%が「北海道にまた来たい(FSCでは77%)」と素晴らしい回答していますが、他のLCC就航地でも似たような調査結果が得られるのではないでしょうか。
安く行ける分、満足度も高く、また行きたいと思う。
LCC、ハンパない?