「危ういハイテク機とLCCの真実」を読んで、LCCの安全性を今一度考える。

LCCと言えば低価格。しかし、安かろう悪かろうという言葉が日本語にあるように、LCCは安全性を軽視しているじゃないか?というイメージが日本人にはあるようです。
実際、LCCに関しての調査を日本人を対象に行なった際、全体の半数以上の方が「安全性に不安がある」・「安さに不安がある」と答えています。


しかし、LCCだからといって安全性に問題はありません。

2013年1月にドイツの航空会社の安全性を検証する調査機関、JACDEC(Jet Airliner Crash Data Evaluation Centre)が発表した、「2012年版の世界の航空会社の安全度ランキング(Airline Safety Ranking 2012)」によると、ジェットスターが20位、エアアジアが29位にランクインされています。
ちなみにANAは17位、JALは47位と、データ上からはJALよりもジェットスターやエアアジアの方が安全ということになります。JALよりも安全とされている航空会社の中には、イージージェットやライアンエアー、サウスウエスト航空等他のLCCもランクインされています。
このランキングは、国際航空運送協会(IATA)による運航管理、整備、危機管理・保安など8分野で国際法令、安全基準に基づいた900超の安全監査基準である国際運航安全監査プログラム(IOSA)などを参照。さらに過去30年の重大事故などを勘案し、独自の指数でランキングしています。(Fly Team参照)

ま、所詮ランキングはランキングですし、ジェットスター・ジャパンに関しては不祥事もありました。ですが、安い=危ないという考え方は間違っているでしょう。
逆に、「日本の航空会社はぼったくっている」という考え方の方が正しいかと。

大学時代に航空運賃に関する授業も取っていましたが、日本発の運賃の高さは世界一と言うのが通説。
「日本発なのに、運賃が思ったより安くなった場合は間違っているわよ!計算をもう一度やりなさい!」と何度も講師が生徒に呼びかけていました。
その度に、「日本人は金持ちだから、高く設定してあるんだろうー?」とスリランカ人の友人が笑う笑う。ご存知の方も多いかと思いますがが、スリランカで航空券を発券する「スリランカ発券」は世界でもトップクラスの低価格。
同じマイル数でも、料金に倍以上の開きがでることもあります。

と、話がズレましたが、LCCだから危険ということは無い、と言うことです。

日本ではまだ馴染みの薄いLCCも、今後数年で、日本国民は嫌でも乗らなければならなくなるでしょう。
今や大手航空会社さえ、路線ごとに機材を小型化し、同じグループのLCCに割り当てるのが常。
LCCに乗らなければ、空の移動が出来ない。そんな路線が日本国内線でも現れることでしょう。

それでもご不安な方に、1冊の本をご紹介。

著者は、ジャンボジェット機の乗務時間で世界一の記録を持つJALのパイロット、杉江 弘さん。
今のところ、LCCの安全性についてきちんと述べられている本は、この本くらいでしょうか。

ただ、パイロット目線の話なので、全体的な流れは自分の考えと真逆なんですが、読む価値はあります。内容はサラッと。

杉江さんは著書の中で、ハイテク機がパイロットの技量の低下をもたらし、優秀なパイロットが少なくなって行くのではないかと、危惧しています。
しかし、エアバスが以前発表した航空機市場予測では、現在の1万5000機から、2030年までには3万1500機と2倍以上に機体数が増加すると予測しています。
ということは、単純に考えても今の倍以上のパイロットが必要なわけです。
パイロットを増やすには、やはり機体をハイテク化し、簡素な操縦で安全に飛行することが出来る事が求められます。
杉江さんが述べられていることは正しいと思いますし、自分も本来はそう有るべきだと思いますが、現代社会において、機体のハイテク化は間違っていないと自分は思っています。

他にも、某新興航空会社が社員の制服をやめてジャンパーに変えた小話も載っていますが、面白いですね。やはりパイロット目線というか、JAL目線と言いますか。制服に憧れて入ったCAなんて、LCCには要らないでしょうし、寧ろポロシャツやスニーカーでカジュアルな格好の方が動きやすくて、緊急時には制服より良いと思ってしまいますが。
こんな話も、書き出したらキリがないのでやめておきますがwこの本、中々良い本です。



航空会社は一つの大事故を起こしただけで、潰れます。特にLCCや国の保護を受けていない小さな航空会社は、一発で潰れます。なので、皆さんが思っている以上に安全には本当に気を使ってます。
ジェットスターなんて不祥事がありましたが、本来は日系よりも安全性厳しいですからね。
路線バスや電車に乗るのに安全とか危険とか考えないで乗る感覚で、LCCにも乗っていただくのがベストかと思います。