懐かしきオアシス香港航空

10月27日に運航を開始する香港エクスプレス航空。
「香港初のLCC」なんてよく言われてるんですが、それは否。
今から5年以上前に、オアシス香港航空というLCCがありました。
オアシス香港が運航を開始したのは2006年10月。日本ではLCC、Low-cost carrierという言葉を知っているのは旅好きの方ぐらいの時代。

欧米はLCCが新しく出来ては潰れ、出来ては潰れ・・・というLCC混迷期。

そんな時代に現れたオアシス香港は香港とロンドン結ぶという、世界初の長距離専門LCC

最も安いセール時には香港-ロンドン間が片道15000円という破格の値段で度肝を抜かれました。
通常期でも底値は2万円弱とかなり安め。

2007年には香港-バンクーバー間にも就航し、その年にはシカゴ線が就航するという話も。
さらにeasyjet等と提携してイタリア・ドイツなどロンドン経由でのチケットも発売するとニュースに。
さらにさらに5年以内に25機まで飛行機を増やす予定という壮大な計画。

順調に見えたオアシス香港。

しかし2006年頃から原油の価格が上がり続け、2008年頃には1バレル100ドルを突破。
その年、2008年4月に突然運航を停止。
理由は燃料費高騰などを受けて資金繰りに行き詰まったと。
累積損失は10億香港ドル(当時のレートで約130億円)。

その年、原油は史上最高値の1バレル147.27ドルをつけました。オアシス香港以外にも2008年前後に潰れたLCCは数知れず。



もちろんオアシス香港が運航を停止した理由は原油高以外にも理由はあると自分は見ています。

現在でも香港-ロンドン線はキャセイやヴァージン、BAが片道10便以上運航していますが、当時は他にもカンタスやニュージーランド航空が運航していました。
オアシス香港から運航を始めてから特にキャセイ・カンタス・Air NZが破格の値段でオファー。
日にちによってはキャセイの方が安い場合も。
本当に驚くような価格でした。まあそんな値段で出されると誰もオアシス香港なんて選ばないんですよね。運行停止前には搭乗率が50%を切ることも。
もう誰がどう見てもオアシス香港潰し。

そんな厳しい競争に勝てなかったオアシス香港、まさに大手の力を見せつけられたような気がします。



さて今は2013年。
エアアジアXのロンドン線等のヨーロッパ線や中東線が運休になり、やはり長距離線はLCCのビジネスモデルと合わないのかと思いきや、ノルウェジアンが北欧とバンコクやニューヨークを結ぶ路線を開設し、オアシス香港以来の本格的な長距離LCCを目指して運航中です。

実際のところ日本でも馴染みのあるエアアジアXは最も遠い区間でクアラルンプール-ジェッダで7000kmくらい。頑張ってます。
ジェットスターはメルボルン-ホノルルが多分最長で9000km弱。
増便計画や以前乗ったシドニー-ホノルル線の盛況っぷりを見ても、ジェットスターの長距離線は十分利益が出ているでしょう。



そう考えるとオアシス香港はタイミングが悪かっただけかもしれません。
既存の航空業界に挑むオアシス香港航空の姿勢は非常に好感が持てたんですが、時期が悪かったのでしょうか。

今オアシス香港があったらどうなる?やっぱり747は無理があったかな?ロンドン線は需要が多いけどライバルも多いから違う路線か、うーん、やっぱりLA??パリあたりか・・・!?
香港エクスプレスとオアシス香港を使えば香港経由でロンドンだと往復5万弱?安っ!
と香港エクスプレスを予約しながら妄想。
香港エクスプレスのお陰で数年ぶりにオアシス香港を思い出しました。