LCCの成功請負人、Mango Aviation Partners

Blogの読者様は格安航空会社(LCC)に興味がある方が多いと思うので、LCCのちょっとした話。固めの話を緩ーく書きます。



日本ではあまり知られていませんが、世界のLCC設立のほとんどにはアドバイザリーグループが関わっています。
アドバイザリーグループって日本語だとなんて言うんでしょうか?うーん、コンサルティング・・・とはちょっと違う気がしますが、要はクライアント(航空会社)にアドバイスをする会社です。

そのアドバイザリーグループとして、今圧倒的な知名度を誇るのが「Mango Aviation Partners」マンゴーアビエーションパートナーズ。
設立・運営等に関わったLCCは数知れず・・・。
イギリスのMonarch Airlines、クウェートのJazeera Airways、インドのGoAir。
そしてみなさんもご存知、ピーチやスクート、ジェットスターアジア、そして香港エクスプレス。
みんなマンゴー。

LCCというのは巨大な会社を除いて、それぞれの航空会社自身で試行錯誤しながら経営しているわけではりません。LCCを知りに知り尽くしている超エキスパート集団が影で支えているのです。

航空会社が自分でLCCを作ろうって思っても、はっきり言って無理。ノウハウが無いんです。

そこで活躍するのがアドバイザリーグループ。LCCのエキスパートに頼んで、ノウハウを得、ある程度の採算が取れるようになるまで面倒を見てもらいましょう!というのが主流なわけです。

具体的にどんなことをするかというと・・・
・投資に関する分析
・会社設立
・金融関係
・航空機導入
・広告
・アウトソーシング
・パイロット・整備士等の確保
・社員のトレーニング
などなど・・・。ほぼ全てですねw



それではクウェートのLCC、ジャジーラを例に見てみましょう。
自分も何度か乗っておりますが、LCCでありながら少し広めのシートだったり、水を配ったりとエアアジアやジェットスターのようなLCCではなく、少しフルサービスエアラインに寄ったLCCという感じです。土地柄に合わせた独自色が強いLCCと言えるでしょう。

そのジャジーラ設立に向けてマンゴーが関わった部分の一例。
・航空会社設立に関するほぼ全て
・料金設定
・コスト削減に関するプログラムの導入
・ルート作成
ジャジーラ運行開始時にはドバイを経由し積極的にアジア方面へ就航都市を増やしました。
これは中東に出稼ぎに来ている層にターゲットを絞るという戦略。
当時はまだ中東エリアにLCCが少なくかなりの搭乗率を誇りましたが、リーマンショック以降の大きく減便。その後は他社LCC(インドのLCCやエアアラビア)等が路線を拡大したため、ドバイ以遠の路線は無くなりました。



続いてジェットスターアジア。
え、ジェットスターなんだからオーストラリアにお抱えのプロ集団がいるんじゃないの?と思うところですが、カンタスグループとマンゴーの頭脳の集結がジェットスターアジアです。

マンゴーが関わったのは
・機材導入に関するリースの交渉・技術審査等
・機体とエンジンに関するメンテナンスサプライヤーの選択・交渉・契約確定
・予算等金融に関する支援
・マネージャー等の上級管理職の募集・選任
・フライトオペレーションシステム・緊急サポート等を委託する会社の契約見直し
・CEOに対するアドバイス等
などなど。



そして今、マンゴーが最も力を入れているのが香港エクスプレス
マンゴーの中でも最も強力なチーム(と言っても5人ほど)が香港エクスプレスをサポートしています
そのチームでの最も有名なのがAndrew Cowen氏。なんと香港エクスプレスの副最高経営責任者に就任しております。

「コーウェンを知らないのにLCCを語ってる奴は糞だ(大学の講師談)」という話があるほど有名。
コーウェン氏のLCC界デビューは1998年頃。ブリティッシュエアウェイズから頼まれ、「GO」というLCCを設立。
今でこそBAはLCCとは無縁ですが、2000年頃は他社レガシーキャリアに先駆けLCCを設立しました。さすがBA。
その後はイージージェットに買収されましたが、そのGOはそのままインドで再デビュー。

他にも5社以上のLCCの設立に関わり、近年ではピーチの設立にも関わっています。
なぜかピーチだと元ライアンエアーのパトリック・マーフィー氏が有名ですが、寧ろピーチを大きく躍進させたのはマンゴーのおかげだと自分は感じています。



ここ10年~15年の間に世界では多くのLCCが設立され、そして潰れていきました。
「潰れていったLCCの多くは単純にLCCとは何かを知らなかっただけ」と、コーウェン氏は言います。

よく日本のLCCは赤字だーなんだのと騒がれてもおりますが、全ては計算。計算違いは整備不良w
少なくとも我々素人が騒いでも無駄ですw

ピーチや香港エクスプレスは間違いなく成功するでしょう。いや、すでにピーチは十分軌道にのってます。
マンゴー、そしてコーウェン氏が関わったLCCが潰れるとは思えないんですよね。今までのLCCを見てみるとそれは考えにくい。仮に潰れる時は日本という国とLCCが合わなかっただけ。
いやー、ANAは良い所に頼みましたw

LCCの裏にアドバイザリーあり、マンゴーあり。まさにLCC界の成功請負人。

コーウェン氏の最近のお仕事は2011-2012がピーチ。2013-2014は香港エクスプレス。その後も予定埋まってるかなー?
もしお金がある方はマンゴーに頼んで日本に新たなLCCを作って下さいwお願いしますw
すごく高いらしいですけどwwwその時は香港エクスプレスと同じチームを希望することをオススメしますwww



なぜか日本のLCCに関する報道って上辺だけで、突っ込んでる記事が少ないと日頃感じてます。
オフィスの節約術みたいな話ばかり。まあLCCとは無縁の国だったので仕方がないのかな?
海外の報道だともっと踏み込んだ話が特集されたりしてて面白いんですけどね。
そういった記事は需要が無いだけかもしれませんw