知って損はないヨーロッパの6大LCC

ヨーロッパを移動するならLCC一度は利用するはず。

スペインやイタリアでは国内線・国際線共にシェア50%前後。その他の国でも40%前後。
数%の日本とは桁が違います。
イギリスで通りすがりの人に「あなたはLCCを利用したことがありますか?」と聞いたら80%の確率で「Yes」と答えるでしょう。

ヨーロッパはそんなところ。

というわけで、知って損はないヨーロッパの6大LCCの最新事情を含めたまとめ。
尚、6つのLCCは利用者数・路線数・機材数・営業利益等を全て考慮し決めました。

Ryanair ライアンエアー

言わずと知れたヨーロッパ最大のLCC。本社はアイルランド。
300機を超す機材で、1日1600便以上を運航。
拠点数57、就航都市数180、路線数1600はヨーロッパでは圧倒的。
ヨーロッパのどんな小さな空港にもライアンエアーなら大抵飛んでいます。
バスと鉄道を乗り継いで小さな街に行くくらいなら、飛行機でひとっ飛び。
そんな使い方を可能にするのがライアンエアー。

運賃が安い一方、サービスの悪さや超高額な手数料で世界最悪のLCCとも言われていました。しかし2013年頃から大きく経営方針を変え、今では様々な新しいブランド戦略で、子供からお年寄りまで使いやすいLCCへと変貌中です。
世界で最も嫌われているLCCから、世界で最も愛されるLCCへとなるために。今がその変革期。

ホームページのデザイン変更やgoogleとの提携。機内持込み手荷物の個数を1個から2個へ緩和など様々な点が変わり、数年前に乗った方が今のライアンエアーを見れば間違いなく驚くことでしょう。
世界で最も厳しいと言われた荷物チェックが息を潜めています。

現在はヨーロッパと北米を結ぶ長距離線進出に必要な機材の選定中。
787にしようか、A350にしようか、得意の交渉中です。

2011年頃には現在使用している737-800の後継機として中国の旅客機COMAC C919とデザイン開発に関する契約をすると突如発表。
その後エアバスとボーイングとの交渉が上手くいかなかったなどと報道され、ライアンエアーはまさかの中国機を採用?ボーイングは欧州最大規模の顧客を失う?等と報道されました。
ところが2014年、過去最高の安さと噂される価格で737を180機購入する契約を結び、全てはライアンエアーの思惑通りという話。

運賃の安さの秘訣はそんな話の上で成り立っています。

easyJet イージージェット

ヨーロッパ第2のLCC。本社はイギリス。
LCCといえばA320か737が有名ですが、最も保有している機材はA319というA320よりちょっと小さい可愛い飛行機。そんな小さな飛行機をあえて飛ばすことで、高搭乗率を維持しています。

さら市街地に近いメジャーな空港に就航し、ビジネス利用も多いのが特徴。

しかし手堅い路線に就航しつつもビジネス事態は派手。
easyと名の付く事業と展開しまくり、バス・レンタカー・ピザ・ホテル・ジム等なんでもあります。
もちろん既に中止や売却した事業もありますが、化粧品・映画館・携帯・インターネットショッピング等とりあえず手当たり次第にやっています。
お陰で機内のトイレにある石鹸も、easyオリジナル。化粧品を販売している成果です。

ライアンエアーとは常に比較されライバル同士と言われていますが、どちらの会社も経営状況は悪くなく、良きライバルといったところ。
最近は両社共に過去最高の搭乗者数を記録し、7月はイージーが640万人、ライアンが915万人。
平均搭乗率はイージーが92.9%、ライアンが91%と、ほぼ互角。

ライアンと比べ使いやすいLCCで日本人が最も利用したことが多いヨーロッパのLCCではないでしょうか。

Norwegian Air Shuttle ノルウェジアン

ヨーロッパ第3のLCCにして、北欧ではスカンジナビア航空に次ぐ第2の航空会社。
ノルウェジアンという名前の通り、本社はノルウェー。
但し拠点は北欧のみならず、ヨーロッパ各地にあります。
機材数は約100、路線数も400程度と上位2社には劣るものの、固定客が多いLCC。
世界ではじめてLCCとしては無料の機内Wi-Fiを導入し、LCCでは珍しいマイレージも導入しています。
そして何より、近年最もヨーロッパを賑わしているLCC。

その理由が長距離線。
世界では初めてLCCとしてはボーイング787を導入し、2013年に北欧-バンコク線や北欧-米国線を開設。
さらに、2014年にはロンドン-北米線も開設。
しかしアメリカではノルウェジアンの路線開設を拒む動きが。
アメリカの大手航空会社がアメリカ運輸省に圧力をかけているとも言われ、特にロンドン-米国線の就航に遅れが出始めています。

ちなみにノルウェジアンのロンドン-ニューヨーク線の最安値は約250ドル。日本円で約25000円。
日本から距離的に近いのは東京-ホノルルでしょうか。
往復tax込で5万円でハワイに行けるとなれば、話題になるのも納得。

それでなくてもロンドン-ニューヨークは1日片道20便以上も運航されている超ドル箱路線。
アジアではジェットスター・スクート・エアアジアといったLCCが成功を収めていますが、実はヨーロッパでは未だ長距離LCCがありません。
このモデルが成立するのか、多くの人が動向を見守っています。

Vueling ブエリング

2004年に設立されたスペインが誇るLCC。
就航当初は上手くいかなかったものの、2007年頃から他社LCCのCEOを招くなどして持ち直しました。
2008年にはスペインのフラッグキャリア、イベリア航空が設立したLCC、クリックエアーと合併。
クリックエアーは元々イベリア航空がブエリングと対抗するために設立したLCCですが、過度な値下げ競争もあり合併したという経緯があります。

そしてクリックエアーと合併したことにより、ブリティッシュ・エアウェイズとイベリア航空が設立したインターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)の子会社となりました。

今ではスペイン第2の航空会社にして、スペイン最大のLCC。
IAG傘下というメリットも活かし、LCCとしては珍しいロンドン・ヒースロー空港への乗り入れやコードシェアも行っています。

スペインという地の利を活かし、拠点にしている空港はスペイン以外にもフランス・ベルギー・オランダ・イタリアと多岐にわたります。
さらに、夏になるとイビザを拠点にヨーロッパ中へ飛ぶのも特徴。

LCCと言っても前述のとおりIAG傘下なので、日本のジェットスターに似ていますね。
マイルも貯まりますし、ジェッ太に対抗できるマスコットキャラクターもいますよ!

Pegasus Airlines ペガサスエアラインズ

トルコ最大手のLCCにして、ヨーロッパ第5のLCC。
トルコ国内線はもちろん、トルコの観光地とヨーロッパの主な都市を結んでいます。
ヨーロッパ各地に住んでいるトルコ系移民はもちろん、トルコに旅行に行く人達に多く利用されています。
もちろん、トルコはアジアとヨーロッパの境目に位置しているので就航地はヨーロッパだけではありません。
カザフスタンやキルギスタンと言った中央アジアはもちろん、ドバイやドーハと言った中東へも乗り入れています。

トルコという比較的物価の安い国を拠点にしているだけあって、ヨーロッパで最も低コストなLCCとも呼ばれています。そのため価格は確かに安め。
ヨーロッパ-中央アジアへの移動やヨーロッパ-中東への移動にも比較的安価で移動でき、多くの旅人の移動手段となっています。

近年ではキルギスの航空会社を買収しペガサスアジアという航空会社を設立したり、KLMやエアベルリンとのコードシェアを開始。エアバスとはA320neoシリーズを最大100機購入する契約を結び、更なる規模拡大を見込んでいます。

Germanwings ジャーマンウィングス

ドイツではルフトハンザ・エアベルリンに次ぐ規模、そしてヨーロッパでは第6のLCCであるジャーマンウィングス。
エアベルリンがLCCと言われた時代もありますが今やLCCとは言われず、ドイツのLCCと言えばジャーマンウィングスです。

2009年にルフトハンザの完全子会社となり、現在ではフランクフルトとミュンヘンを除く欧州内及びドイツ国内線の短距離線をルフトハンザからジャーマンウィングスに移管中。
2015年1月8日に移管が完了予定です。
例えるなら、JALが羽田と関西発着路線以外の国内線をジェットスターに運航させる・・・というような話。

ルフトハンザグループということで、マイルや乗継も可能。
但し料金は他のLCCに比べ少し高め。
とは言っても、ルフトハンザの欧州路線は往復だと激安なのに片道だと激高という点を解消してくれた、素敵なLCCです。

最近はこれといったニュースもなく、淡々と運航中。

唯一面白いのがジャーマンウィングスが発売しているBlind Bookingと呼ばれるチケット。
行き先が分からないドイツ発の往復チケットが激安で購入できます。

日付とジャーマンウィングスの就航地という事以外は全て不明。
どこでも良いけど旅がしたい!そんな方にオススメ。
もちろん、本当に行き先が不明というわけではなく、いくつかのジャンルから選択します。
例えばビーチ・自然・ショッピング等があり、ヨーロッパらしいのがゲイフレンドリーというジャンルがある点。
さらに言うと、就航地の中にはもちろんドイツ国内の都市も含まれているので飛行機で1時間程度のドイツの街か、3時間も離れてた国に飛ぶかはわかりません。悪しからず。