なかなか進まない列や、荷物をしまうのに手間取っている人を見ると、イライラしたことがある人も少なくないでしょう。
LCCだとスケジュール上の空港滞在時間は30分が基本。
搭乗に時間がかかると、出発が遅れ、到着が遅れ、最終的に目的地や自宅に着くのが遅くなってしう場合も。
そんな搭乗に関する話が今回のテーマ。
搭乗順で一般的なのは、乗客を前後に分け、後ろの席から搭乗させる方法。
しかしこの方法での搭乗は効率が悪いという話が以前海外のホームページに載っていました。
という訳で、今回は一体どんな搭乗順が効率が良いのか、いくつかの情報を元に調べてみます。
もちろん、このブログはLCCがメインですから、あくまでLCC目線ですよ?
調べる前に
今回の記事は以下のホームページ並びにテレビ番組に関する記事、並びに現役客室乗務員へのインタビューを元に作成しています。
MythBustersでは実際に仮設の座席を作り、ナローボディ機を想定した172席仕様で調査を行いました。
これにボランティアの乗客が様々な搭乗順で座っていくという方法です。
これにボランティアの乗客が様々な搭乗順で座っていくという方法です。
調査では、以下の点に留意してください。
10人程度の乗客に予め特別な指示を与え、搭乗時間を長引かせるような指示を与えています。
子連れや座席をわざと間違う人等です。
実際の搭乗に近い状況を再現しているとも言えますが、演出があるとも言えるでしょう。
また、乗客には着席後アンケートを取り、満足・普通・不満足で満足度を評価をしています。
満足は1点、普通は0点、不満足は-1点です。
ボランティアの方は間違いなく、最初に比べ最後の方が搭乗に慣れています。その為最初と最後では明らかな差があるとも言え、注意が必要です。
ボランティアの方は間違いなく、最初に比べ最後の方が搭乗に慣れています。その為最初と最後では明らかな差があるとも言え、注意が必要です。
後方から前方
多くの航空会社が採用している方法が後ろから順に搭乗するタイプ。
MythBustersでは3分の1ずつの搭乗です。
30列の機材を例にすると、21~30列目、11から20列目、1~10列目と言った感じ。
結果、かかった時間は24分29秒。満足度は19点。
この搭乗順の欠点は、窓際や中央の人が座る前に通路側の人が座ってしまうと、一度立つ必要があるという点。
そのため、満足度が思ったよりも高くなく、時間も無駄にかかっています。
ランダム
続いてランダム。好きなタイミングで搭乗して良い場合です。
かかった時間は17分15秒。満足度は12点。
満足と不満足の評価をした人が半数ずつと、極端な結果になってしまいました。
しかし多くの航空会社が実施している後ろから順に搭乗する方法よりも、7分も短くなりました。
窓→中央→通路
続いて窓側、中央、通路側と順に座っていく方法。WilMA(ウィルマ)とも呼ばれます。日本ではピーチや、最近はスカイマークでもこの方法を案内する場合がありますね。
この方法では14分55秒 とこれまでの最速。満足度も102点と高評価です。
ブロック別の窓→中央→通路
WILMAの発展形とも呼べるでしょう。WilMA+α的な。
後ろのブロックから窓→中央→通路というように座っていきます。
かかった時間は15分07秒。満足度は105点と高評価でしたが、WilMAとあまり変わりません。
ピーチがメインで採用しているタイプですね
自由席
アメリカのサウスウエストや昔のライランエアーが採用していたのが自由席。
今はあまり見かけなくなってしまいました。
かかった時間は14分07秒。これまでの最速です。しかし満足度は-5点と最低。
リバース・ピラミッド
最も変則的な搭乗順です。
まずは後方窓際から。その後、前方窓際と同じタイミングで後方中央列・・・・・・という順番。
時間は15分10秒。113点と最高得点です。
まとめ
以上6つの搭乗順をまとめると、以下のようになります。
搭乗順 | 時間 | 評価 |
後方→前方 | 24:29 | 19 |
ランダム | 17:15 | 12 |
WilMA | 14:55 | 102 |
WilMA+α | 15:07 | 105 |
自由席 | 14:07 | -5 |
リバース・ピラミッド | 15:10 | 113 |
しかし難易度が高く、非現実的でしょう。
最も早いのは驚きの自由席という結果に。
自由席の場合、基本的に前方の空いている席から順に座っていくため、混乱も無くスムーズな搭乗が可能なようです。
ただ2000年以降、多くのLCCが座席指定料金を設定し、自由席を採用しているLCCはごく小数になってしまいました。
一つは新しく座席指定を導入してもシステム上あまりコストがかからなくなったため。
そして座席指定料金が意外と儲かることに気づいてしまったからでしょう。
評価も良くなく、ベストな方法かと言われると微妙。
現実的に考えて、搭乗する側も案内する側も楽、且つ所要時間も短く評価が高いのはWilMA。
窓側・中央・通路側の3ブロックに分け、窓側から順に座らせていく方法です。
ピーチは良く分かってますね。
就航前に実際に試して調べたのでしょうか。気になりますw
さて、この調査で明らかになったことがもう一つ。
それは後ろから順に搭乗するのは時間がかかり、効率が悪いという事。
ではなぜ多くの航空会社がこの方法を採用しているかというと、ビジネス上の理由があると言えるでしょう。
搭乗でイライラが高まれば、有料でスムーズな搭乗ができますよ?と、優先搭乗のオプションが売れます。
また、待っている人を横目に上級会員がスムーズな搭乗をしていれば、自分も上級会員になろうかな?と思う人がいるかもしれません。
仮に全ての会社がWILMAを使えば、優先搭乗は効率を悪化させる要因に。
多少時間がかかっても、収益を上げる方法が経営上はベストでしょうね。
一方、優先搭乗オプションを販売していないLCCはどうでしょうか?
少しでも定時運航が出来るよう、WILMAを導入するのが顧客のためだと感じます。
もちろん、乗客も定時運航が出来るように、定められたサイズの荷物で搭乗したり、搭乗時間等を守る必要がありますが、乗客にルールを押し付けるだけではなく、航空会社側もそれなりの努力を見せてほしいところ。
今更他の国内LCCがWILMAを導入しても、ピーチの真似したんだな・・・なんて思わないので是非他のLCCも試しに導入して頂きたいなと。
個人的にはピーチがアームレストも徹底して上げている状態にしているのに好感をもちます。
ただ、上げたままだと某社なんかはルール違反でしょうから、そこまでは良いかなと。
ルールをきちんと守れる人が多い日本だからこそ試してみる価値があると思いますが、果たして2015年にWILMAを導入するLCCは日本で誕生するでしょうか。