燃油サーチャージの値下げで本当にサーチャージ分航空券は値下がりしたの?

2015年4月1日から多くの航空会社では燃油サーチャージが値下げとなりました。
日本発着欧米路線では、往復で約7000円程度の値下げとなる航空会社が多数。
経由便ではそれ以上です。

燃油サーチャージに関しては何度か書きましたが、燃油サーチャージ分がきちんと安くなる航空会社は一部。
多くの航空会社は少しだけ値下げするか、運賃を値上げして結局総額だと変わらない料金設定にします。
■カンタスが燃油サーチャージの廃止と運賃の値上げを発表!結局どうなの?
■燃油サーチャージが無くなると航空券は安くなる?飛行機と燃油の話

という訳で、実際にチェックしてみましょう。
*予約を3月31日までにして4月1日以降に支払う等の方法ではなく、予約と同時に発券をするのが条件。
*空席状況をCRS等で把握し、空席状況による料金変動では無いという前提。
*今回はエクスペディアの最安値検索を使用。

エティハド航空の東京-ロンドン往復航空券

日本時間の31日23:50にチェックした際はtax込83330円。
運賃は23000円、taxは60330円。予約クラスはE。

4月1日00:15にチェックした際はtax込73690円。
運賃は28000円、taxは45690円。予約クラスはU。

予約クラスが上がり運賃が値上げとなっていますが、なんと約1万円の値下げです。
良心的。

直行便の東京-ロンドン往復航空券

31日時点での最安値はJAL便名でのBA直行便。
往復tax込106930円。
運賃は55000円、taxは51930円。
予約クラスはQ。

1日0時過ぎには往復tax込103290円に値下がり。
運賃は59000円、taxは44290円。
予約クラスはS。

約3000円の値下げですが、予約クラスはS→N→Qの順に下がっていくので、予約クラスを上げて運賃を値上げというパターン。
日本発ではこのパターンを採用する航空会社が本当に多いですね。

続いて、BAの直行便を検索。
予約クラスも変わらず、しっかり7000円の値下げです。

東京-ニューヨーク往復航空券

3月31日~4月2日にかけて航空券を比較しましたが、多くの航空券で料金の変動無し。

為替レートによる数百円の違いがある程度で、10万円前後の格安航空券では燃油サーチャージ分値下げされている航空券がほぼありませんでした。

結局燃料のコストが下がるなら航空券は安くなる?

以前ご紹介したFLYRのレポートをご紹介。
次世代型航空券価格比較サイトをご紹介!その名もFLYR!

航空券と燃油サーチャージの関係についてとても良くまとまっています。
Jetfuel and Airfares 2015 - FLYR

調査によると、過去20年間の燃料コストの変動に対して、航空券の価格はとても安定しています。
これは、燃料費と航空券の料金の間に需要の弾力性が関係しているため。
例えば上のグラフでは、アメリカ国内線の価格指数、要は利用者が支払った航空券と、航空会社が支払った燃料費の比較を表していますが、航空料金が20年間ほぼ平行線なのに燃料費は上がり下がりがあることがわかります。

燃料費が航空券に大きく影響しない理由は、航空会社が様々な手段で対策をとっているため。
航空会社は将来の運用コストを考え、燃油や通貨が急激に変動したからといって直接航空料金に反映されないようにしています。

まとめ

多くの航空会社は燃油サーチャージも貴重な利益の一つ。
運賃と燃油サーチャージを含めた額で、価格設定をしています。
よって、多くの航空会社では例に出したJALのように4月1日になった途端に予約クラスを上げたり、運賃そのものを値上げし、支払う金額は燃油サーチャージが多少変動してもあまり変わらないようにしています。
taxはごまかしようが無いですから。
これが、航空券が一定の額で売られているという事の証明になります。

一方、少数ながらエティハド航空やカタール航空などを中心に、燃油サーチャージの値下げ分がきちんと反映されている航空会社もあります。

よって、燃油サーチャージが値下がりしたからといって、全ての航空券の価格が燃油サーチャージ分値下がりするとは言えません。
航空会社、航空券によって異なり、安くなる場合もあれば、まったく変わらない、ヘタすれば上がるということもあるというのが答えです。

そもそも燃油サーチャージの値下げ値上げをきちんと公開しているのは、日本を含めて僅かな国。
いや、ここまで航空会社各社がプレスリリースとして公開しているのは日本だけかもしれません。
その燃油サーチャージの値下げ値上げで一喜一憂しているのも、日本人くらい。

欧米ではtax込表示が基本なので、"航空券=総額"です。
最近ようやく日本も"航空券=運賃"だったのが、"航空券=運賃+燃油サーチャージ"になってきました。
とは言え、日系でさえ日本以外ではしっかり総額表示。
分かりやすくて良いですね。

燃油サーチャージの値上がり値下がりに翻弄されること無く、良いタイミングでのご購入をオススメします。